さいたま マンションの最大限化に向けて
銀行という名を冠してはいるが今までの銀行とはまったく違う。
落とした照明の中で効果的なライトニングを駆使したファッション・ショーのような演出は既成の銀行のイメージを打ち破るソニー銀行にふさわしいものであった。
ソニー銀行は、ソニーが銀行免許を得て資本金375億円の別パーセントを出資して設立した銀行である。
I堂グループが設立したA銀行とともに不良債権にあえぐ不況業種である銀行への新規参入が注目された。
ソニーもI堂も業態は異なるが個人にモノを売ることによって成長してきた。
メーカーや小売店は個人に積極的に支持され選ばれなければ成長はおろか存続もできない。
一方個人が特定の銀行を積極的に選ぶなどということは考えられなかった。
普通預金定期預金振り込み公共料金の引き落とし等々。
すべての銀行はまったく同じ種類のサービスをまったく同じ条件で提供していた。
個人から見た銀行は看板を架け替えればすぐにでも他行の支店に替われるようなまったく個性のない空間であった銀行口座がなくては生活に支障が出るので最寄り駅の前にある銀行や給与振り込みに指定された銀行に口座を開く。
選ぶ理由はそこにあるから決められているから。
まるで用があって役所に行く時のような気分である。
実際銀行は、一種の役所であった。
銀行法の定めにより内閣総理大臣から許可を得なければ営めない業務であり銀行法を所掌する旧大蔵省の方針により異業種からの新規参入は事実上不可能であった。
すべての銀行は大蔵省の決めたサービスを大蔵省の決めた条件で提供した。
主な収入源である預金金利と貸出金利のサヤは保証されていたから支店を増やせば必ず儲かる。
その支店の開設を決めるのも大蔵省。
1980年代末までそういう時代が続いたのである。
融サービスのあり方も変わる。
既存の銀行はもっぱら個人から集めた預金を企業に貸し出す業務に特化していた。
そういう業務は銀行の資金量ほどには社会から求められていない。
初年代後半に貸し出す先がなくなって不動産開発に貸し込んでバブルを膨らませ不良債権の山を築いた。
今も優良な貸出先を見つけられず不良債権は増殖する。
状況は既存の銀行に預けられた預金の受け皿が育たない限り変わらない。
ソニー銀行は銀行という名を冠してはいるがその業務の形態は既存の銀行とはまったく異なる。
ソニー銀行が掲げる「個人のためのフェアな銀行」という理念がその受け皿としてふさわしいかどうか。
その答えは今後のソニー銀行の成長によってしか判断しえない間違いなくその可能性を秘めた稀少な存在である。
今までの銀行とは違うのだから。
今まで個人はプロのマーケットから疎外されていることをはっきりと知らされていなかった。
仮に知っていたとしてもすべての銀行が横並びに個人向けの値段を設定していたからそれに従わざるをえなかったのだ。
ソニー銀行は個人をフェアなマーケットに近づけ個人をプロのマーケットから疎外しない。
金融を理解しようという意欲とインターネットを操作できる最低限の能力がある人たちに従来の売り場よりもはるかに安く買うことができる手段を提供したのだ。
歴史的な猛暑のさなかの2002年8月8日私は銀座のソニーピル8階のソミドホールで行われたソニー銀行のメディア向け懇親会に出席していたソニー銀行に関する記事が雑誌などのメディアに載ること自体を広報と捉え記者やライタメーカーでは当たり前の発想なのかもしれないが銀行としては珍しい。
中央銀行がフェアーを招いて経営理念や戦略商品を知ってもらおうとする。
日本の銀行は企業相手の取引に特化してきた。
規制に縛られて自由な商品設計ができないという事情もあって個人に向けた明確なメッセージを持っていない。
伝えたいことがないから日本の銀行のテレビコマーシャルはどれも若い女性タレントがニコニコしているだけで中身がなかった。
同じ金融機関でも外資の生命保険は「トリプルA」のような個人が自社と取引することのメリットを明確に訴えるコマーシャルを作る。
そうでなければ莫大な費用をかけてテレビコマーシャルを打つ意味がないと合理的な外資は判断するのである。
考えてみれば銀行の経営者がメディアの前に姿を現すのは何か不祥事があった時くらいである。
テレビの中でしか見たことはないが殺風景な会場に置かれた長いテーブルに高齢の方々がズラリと並びその中のひとりが慨然とした表情でメモを読み上げ全員が立ち上がって深々と頭を下げて謝罪する。
ソニー銀行の懇親会ではI社長とZ取締役が先頭に立って堂々と経営理念を語る。
自分たちが個人に対して「フェアであること」を伝えたくて仕方ないのだ。
の部長の要職にあったエリートである。
かつて日本を代表した名門証券会社のエリートらしく濃紺のスーツが板についている。
スーツが長身によく似合っていた。
口座数の推移や預金残高などがサイトに公開され毎月更新されている。
中央銀行がついで外貨預金投資信託住宅ローンなどの主力商品の担当者がそれぞれの戦略と実績をユーモアに満ちた口調で堂々と説明した。
よく整理されている上に資料もたいへん見やすくて忙しい仕事の合間を縫って自前で用意したとは信じられない出来映えである。
みんな話し好きで予定が少しずつ押していく。
銀行のイメージは愛想が悪い居丈高であるといった通り相場であろうがソニー銀行に限ってそういう雰囲気は微塵も感じられない。
ソニー銀行は個人をプロのマーケットに近づける。
今まで個人はプロのマーケットから完全に隔離されていた。
それだけにピンとこないかもしれないが金融取引には3つの階層がある。
金融のプロである銀行や証券会社のディーラー同士が取引するマーケットプロと大口法人との取引プロと個人との取引である。
プロ同士のマーケットはそういうディーラーの意思によって作られる。
今一番わかりやすい例として外国為替を取り上げよう。
プロのマーケットはアジアの月曜日の朝に始まる。
まだアメリカは日曜日の夜であるがアメリカ人のディーラーは東京の取引先に電話して取引を行うことができる。
マーケットは124円00銭である。
マーケットはアジアの月曜の朝からニューヨークの金曜の夕方まで休みなく刻々と変動している。
大口の法人はプロのディーラーと直接取引することによって間接的にプロ同士のマーケットに参加することができる。
大口の法人が「今ドルを買うとしたらいくらか?」とディーラーに値段を聞きディーラーが「124円00銭」と答える。
大口の法人は124円00銭でドルを買うか買わないか自分の意思で判断できる。
「買う」といえばその時点で取引は成立。
ディーラーはマーケットから124円00銭でドルを買って5銭のサヤを抜く。
その会話の間にドルが値上がりしてサヤを抜き損なうこともある。
個人はマーケットから完全に疎外されている。
銀行は刻々と変動するプロのマーケットの特定の時間のレートを基準にして一方的に個人向けのレートを作るのである。
たとえばプロのマーケットの売り値と買い値の中間が124円00銭だとするとそれを基準にして個人にドルを売る場合は125円00銭個人からドルを買う場合は123円00銭というように。
金利に関しても状況は同じである。
プロ同士のマーケットでは金利は刻々と変動し大口の法人はプロと直接取引することによって間接的にマーケットに参加し個人はマーケットから完全に疎外されている。
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